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- 新型はSUV?国産の最高級車トヨタ「センチュリー」ってどんな車?気になる価格も
先月、トヨタ自動車が新型「センチュリー」を発表した。正確には既存タイプのモデルチェンジに伴う新型ではなく”新たなモデル”の追加となる。
もはや国内ではこの手の純然たる「※ショーファードリブンカー」(以下ショーファーカー)と呼べる車を製造するメーカーは存在しないため、トヨタがこの新型の発売によって国産最高級車にもう一つの選択肢を提示したというわけだ。
目次
国産自動車の「御大」といえる存在
そもそもセンチュリーとはどういった車なのか。
かつては国産車で日産の「プレジデント」という競合モデルも存在したが、今や国内だけではなく海外を見渡しても明確に「ショーファードリブンカー」として製造されているのは「ロールスロイス」くらいしか存在しない。
それだけ「センチュリー」は貴重な存在で、軽自動車からスポーツカー、高級車に至るまで、複数のメーカーがありとあらゆる車種をラインナップする自動車大国の日本において、まさに「御大」ともいえる最高峰の車が「センチュリー」なのだ。
なぜ国産のショーファーカーは消えていったのか?
※ショーファーカーとは、お抱え運転手を意味する「ショーファー」から来ており、いわゆる「お偉いさん」が座る後席の快適性を優先して開発された車で、主に公庁や企業の役員車として活用される。
また皇室などで使用される車も、こういった市販のショーファーカーをベースに作られるため、国レベルの特別な要望(オーダーメイド)に対応できる車であることも重要な役割である。
なぜセンチュリーだけになってしまったのか。
日本には世界的にも有名な自動車メーカーは多数存在するが、経営的に浮き沈みを経て今に至るメーカーは多く、トヨタも例外ではないがほとんどのメーカーは採算が取れない事を理由に撤退してしまったのが現状だ。
そんな中、トヨタは1967年に初代を発売して以来、50年以上に渡ってセンチュリーを作り続けている。
不変を貫いた象徴的なセダンはセンチュリーたる所以
1967年に初代を世に送り出されたセンチュリーは、1997年に2代目、2018年に3代目(現行車)とモデルチェンジをしてきているが、その間隔は他の車種と比べても極端に少なく、例えば同じくトヨタを代表する「クラウン」は発売こそ1955年とセンチュリーより古いが、現在は16代目となっていることから見ても分かるだろう。
初代から2代目までは30年、2代目から3代目までは20年と、エンジンや内外装のアップデートなど細かい変更は行われているが、基本的なスタイルは「不変」を貫いている。
そして、その不変は初代以降から受け継がれているセダンボディにも表れており、それがセンチュリーたる所以でもあったが、登場56年目にしてその象徴的なセダンに加え、新たなボディタイプが登場するという。
いわゆるモデルチェンジではなく、先代を大事にし、もう一つのセンチュリーを誕生させたということに大きな意味があるのだろう。
これが新しいショーファーカー「センチュリーSUV」だ
見るからに厚みのあるボディは、一目見て伝統のセダンとは違い、全く新しいものだということがわかる。SUVと言ってしまうとスポーティーでアクティブな車のイメージがあるが、その重厚感や鳳凰のエンブレムからは威厳を感じ、SUVという枠には収まらない、まさにセンチュリーの名に相応しい品格を持っている。
ボディサイズは全長5205mm×全幅1990mm×全高1805mm。セダンと比較し、全長は130mm短くなった一方、全幅は60mm、全高は300mm拡大し、SUVライクなシルエットとなっている。
出典:レスポンス
やはり、大きな違い(特徴)は全高が300mm(30cm)も高くなったことだろう。今は乗り降りのしやすさや室内空間の広さから、アルファードなどの高級ミニバンがショーファーカーとして重宝される(好まれる)ようになっていることや、時代を鑑みればこういったスタイルに行き着いたのは必然だったのかもしれない。
パワートレインも新開発のV6 3.5リットルプラグインハイブリッドシステムを搭載と、安易に不便さやリスクの指摘もあるEV化に走らずに、ビップ(要人)を乗せた車にあってはならないリスクを軽減できるのもハイブリッド技術を極めたトヨタの強みだ。
オーダーメイドで選べる新たなドア「リンク式」とは?
もう一つ注目するべき点は、後部座席のドアの開閉方式に興味深いオプションが設けられていることだ。
ドアの開き方は一見ミニバンなどと同じようなスライドドアに見えるが、車体側面にレールが配置されていないため従来のスライド式とは似ているが方法は違うようだ。
(スライド式は)車体側面には直線のレールを配置する必要があり、搭載車両の形状に制約がありました。 しかしリンク式パワードアでは、回転アームなどを用いた保持・開閉駆動を行う構造部品を新たに開発。これにより車体にレールを配する必要がなくなり、車両のデザインを維持したまま開閉することが可能になったと言います。
出典:くるまのニュース
そもそも、この「リンク式」という構造は、自動車部品を製造するアイシンが2022年11月24日に開催された「アイシン サステナビリティ説明会2022」で発表しており、レクサスなど高級車への搭載に向けて開発されたようだが、国内の最高級車センチュリーへの搭載も可能となると、その技術も一気に注目度が増し「他のモデルにも採用して欲しい」というような声も出てくるのではないだろうか。
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まさに現代のショーファーカーにふさわしいと言えるセンチュリーSUV。
価格は2500万円とこちらも横綱級となっており、一般人には全く縁のない車だが、日本にもこんなに凄い車、特別な車がまだ作られているんだと思うとワクワクしないだろうか。
発売は2023年中の予定、凡人は運よく街で見かけられることを期待して待ちたいと思う。