渋谷のハロウィン規制に文化を絶やすな?仮装の中身は「かつて若者」だった中年という現実も

完全にコロナ禍も明けた今年のハロウィンだったが、近年は渋谷に仮装した若者が集まり「渋谷=ハロウィン」というイメージが良くも悪くも定着していたなか、今年は本番となる10月31日が近づくにつれ地域からは混乱を警戒する声が聞かれ、ついに渋谷区は「ハロウィン目的で渋谷に来ないで」と発信するまでになっていた。

そうした規制に対して様々な意見もあるようだが、コロナ禍や韓国の雑踏事故を経たうえでの時代の変化というのもから、今後、渋谷のハロウィンがどうなって行くのだろうか。

自粛要請された今年の渋谷の様子は?規制に不満の声も

本番の31日を前にした、週末(土日)の28~29日も警戒されたが仮装する人は”まばら”だったようだが、ハロウィン当日にはどうなるか注目された。

JR渋谷駅周辺は、週末に引き続き大勢の警察官が警戒に当たった。仮装をした若者らの姿は例年より大幅に少なく、大きな混乱は見られなかった。

出典:ハロウィーン、仮装姿少なく|時事通信社

ハチ公像の付近では…仮装姿は周辺に数人といったところ。「カオナシ」と一緒に写真を撮る外国人観光客もいたが、通行人のほとんどは、その場を素通りしていった。

出典:ゾンビ姿の男性「寂しい」渋谷、厳戒態勢で静かなハロウィン|産経新聞

どうやら街中はかなり抑制されていたようで、SNSを見ていても渋谷やハロウィン関連のワードはトレンドに上がらず、ハロウィン自体の盛り上がりが明らかに例年とは違ったように感じた。

※渋谷区は31日の人出は昨年から35%減、コロナ禍前の2019年からは約半数になったと発表した。

本当に経済効果があり文化と言えるものだったのか

こういった規制に芸能人などから色々な意見も出ているようだが…

益若は31日午前2時頃「せっかく世界的な楽しい文化になりそうだったのにルールを破る人に合わせてまた世の中から文化や娯楽や経済効果が一つなくなっていくのか」と悲しみをつづった。

出典:益若つばさ”渋谷ハロウィン”厳戒態勢に悲しみつづる|モデルプレス

渋谷駅近くの青果店に勤める男性(53)は「(ハロウィーンが)ない方が一般のお客さんは多いので、日常の方が望ましい」と話した。

出典:ハロウィーン、仮装姿少なく「来ないで」厳戒態勢続く|時事通信社

当日には閉店するという店や、実際に地域からこのような声が出ているとなると、もはや文化や経済効果どうこうの話は崩壊してるのではないだろうか。

仮に無法地帯になった街に規制をかけず、人が集まるまま、なすがまま地域も区も警察も放棄したらどうなるのか・・・

誰かの手を煩わせたり迷惑をかける、それを娯楽だの文化というのはあまりにも無責任ではないのか。楽しいだけで世の中が上手くいけば誰も苦労はしないのだ。

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このような地域や区の拒否反応に、当初「街の活性化」のために乗り気だったくせに「手のひら返しだ!」なんて声も聞こえてくるが、状況が変われば人の気持ちも変わる、平和や安全が脅かされれば誰もがそうなるだろう。

中心は本当に若者?「かつての若者」だった中年だらけ

「渋谷のハロウィンには若者が集まっている」というのは、実は思い込みなのかもしれない?

小木は「じゃあどこ行きゃいいのよ。でも渋谷にハロウィーンで来る学生は六本木には来ないでしょ。渋谷だからはしゃげる、新宿は逆に怖いみたいな。そうすると行く場所なくなっちゃうね」と疑問を抱いた。

出典:おぎやはぎ 渋谷のハロウィーン規制に疑問|スポニチ

彼が言いたいこともわかる、若者のエネルギーを発散させる場所が奪われるということも、だが・・・

ハチ公像周辺にいた囚人服にゾンビのマスクをした会社員の男性(35)は今年で5回目だという。「厳戒態勢が取られていることは知っていたけれど、さすがにもう少し仮装をした人がいると思った」といい、これまでの渋谷ハロウィンにはなかった光景に、寂しさを感じたと明かした。

出典:ゾンビ姿の男性「寂しい」渋谷、厳戒態勢で静かなハロウィン|産経新聞

お化けの仮装をして訪れた豊島区の男性(35)は「渋谷には毎年来ているが、いつもなるべく邪魔にならないようにしている」と話した。
川崎市の男性(51)は「渋谷ばかりやり玉に挙げられるのはおかしい。来るなと言うだけではなく、混雑緩和のための工夫をすべきでは」と不満げだった。

出典:ハロウィーン、仮装姿少なく「来ないで」厳戒態勢続く|時事通信社

言っちゃ悪いが、マスコミの取材から聞こえてくる声は、こういったとても若者とはいえない中年の声ばかり・・・

今の若者が仮装やバカ騒ぎをしたいという思い込み

そもそも渋谷でハロウィンの仮装が流行りだしたきっかけは「2002年のFIFA日韓ワールドカップ」だと言われている。

日本の勝利に高揚した若者がスクランブル交差点に集まって、信号が変わるたびに交差点を行きかう人同士がハイタッチを繰り返す光景が話題となり、その後は特にサッカー日本代表が大きな大会で勝利するたびにマスコミがその様子を中継するなど、ある意味「風物詩」のようになっていった。

そこから何かイベントがあれば渋谷に集まって騒ごうとする人たちが現れ、2014年頃にはハロウィンで仮装する人たちが集まるというのが定着したと言われる。

こういった経緯を考えると、当時”きっかけ”を作った「かつての若者」が、現在もかなり含まれているのではないかと思う。

2002年あたりにハイタッチを始めた当時の若者は、現在40~50歳。ハロウィンが定着しだした時期に若者だった世代は現在30代になる頃だろう。

人込みに警戒感の強い今の若者世代は意外と冷静

そして現役である「今の若者(高校、大学生)」は、小中学生の頃に一番酷かった2018年あたりのハロウィンを見ており(軽自動車が横転させられるなど一部が暴徒化し、乱痴気、バカ騒ぎなどモラルの低下が問題となった)思春期にコロナ禍を経て来た世代だ。

ここから個人的な推測をすると、渋谷で騒ぎたいのは「かつての若者」「アニメやSNSで影響を受けた外国人」が中心で、バカ騒ぎやコロナ禍、そして韓国の雑踏事故というショッキングなニュースに触れてきた今の若者はハロウィンに対して冷静なのではないかということ。

むしろ仮装した人を寒い目で見ていることも多いとSNSなどからは感じられた。

こういった経緯を鑑みれば、必ずしも規制が人出を減らしたのではなく、コロナ禍で鎮静化している間に若者とされる20歳前後の世代はハロウィンを冷めた目で見る世代に変わり、自然と落ち着いたということも理由の一つとしてあるのではないかと思う。

◇  ◇  ◇

結論として、芸能人の彼らが言う、文化、経済効果や、学生云々、はしゃぐ場所が無くなる等の話は的外れで、今の若者は普通に普通の格好で渋谷に行って十分楽しんでおり、地域もそういった日常の方をよっぽど望んでいるというのが現実ではないだろうか。

勝手に思考停止した大人が「若者の気持ちになったつもり、寄り添ったつもり」でいても、現実は違うということは結構ある。ただ年を重ねただけで時代の流れや変化に気づかない的外れな「ご意見番」にはならないように心がけたいものだ。

 

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